チベット仏教普及協会
《ポタラ・カレッジ》
【2025年10月16日最終更新】
お蔭様で、全ての行事は無事に成満しました。ありがとうございます。
2025年7月6日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世法王猊下は、満90歳の御誕生日を迎えられました。
ポタラ・カレッジでは、記念の特別行事として、本会会長ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師による密教伝授を実施致しました。
灌頂法儀の説明は、ゲシェー・ソナム師自身が日本語で行なっております。通訳なしでチベット密教の灌頂を受法できるのは、とても貴重な機会だったといえるでしょう。
いずれも、会場受法(ポタラ・カレッジ東京センター)とオンライン受法の併用
8月10日(日)午後2時~6時、11日(月・祝)午後2時~7時
2日間とも参加する必要あり【ポタラ・カレッジ会員限定】
ヤマーンタカ(大威徳)は、仏陀の智慧の体現者である文殊と一心同体の本尊です。死神のヤマ(閻魔)を調伏するために、恐ろしい忿怒の姿を現わしています。深い意味で解釈すれば、閻魔は生死輪廻をもたらす無明であり、それを調伏するというのは、空性を覚る智慧によって無明を断滅することにほかなりません。激しい忿怒の行相でそれを行なうのは、密教の強力な手段で速やかに無明を根絶することを示しています。一般的な意味で解釈すれば、ヤマーンタカの絶大な威力により、死魔を始めとする修行の障礙を取り除くという趣旨になります。
ヤマーンタカの中でも、特に金剛バイラヴァは、ツォンカパ大師と一心同体の守護尊であるため、ゲルク派密教に於ける無上瑜伽タントラ三大本尊の一つとして、極めて重要視されています。金剛バイラヴァは、水牛の忿怒相を中心とする九面、三十四臂、十六足という、非常に複雑な姿をしています。そうした姿にも、様々な象徴的意味が込められています。金剛バイラヴァの生起次第と究竟次第には、「グヒヤサマージャ(秘密集会)」聖者流に近似しているという特色もあります。

金剛バイラヴァ 一尊(大阿闍梨チャト・リンポチェ猊下御持参のタンカより)
金剛バイラヴァの行法にも、十三尊と一尊の二種類があります。一尊は、曼荼羅の中心に主尊金剛バイラヴァだけを生起し、それも母尊を伴わない単独の行相で修習します。「グヒヤサマージャ」聖者流に近似した深遠な行法であるにもかかわらず、簡潔で短時間に実修しやすい特長があります。そのため、ゲルク派の名だたるラマたちには、グヒヤサマージャ聖者流をよく学び、ヤマーンタカ一尊を徹底的に修行する・・というスタンスの方が多く見受けられます。今回大阿闍梨を勤めるゲシェー・ソナム・ギャルツェン師が、三年間に渡る大親近行を実修した際の本尊も、このヤマーンタカ 一尊です。ダライ・ラマ法王猊下90歳という記念の年にあたり、ヤマーンタカ一尊の徹底的な修行を成満したゲシェー・ソナム師から大灌頂を授かるのは、とても素晴らしい御縁だといえるでしょう。
「ヤマーンタカ 一尊大灌頂」の入壇を希望する方は、 大乗仏教の教えを正しく学ぶという心がげを堅持し、密教に対する信心を確立し、大阿闍梨と三宝を恭敬して帰依することが肝要です。そして、大灌頂を受けた後には「菩薩戒」と「三昧耶戒」を守り、「六座グルヨーガ」を毎日昼夜に修行すること、及び「成就法略本」を毎日修行することが、三昧耶(誓約事項)になります。
「ヤマーンタカ 一尊大灌頂」受法資格: ①顕密共通の道として「ラムリム」や「ロジョン」の教えをよく学び実践していること。②「六座グルヨーガ」を一日2回、「成就法略本」を毎日1回修行すると誓えること。この2点が、受法の必須条件です。
8月13日(水)午後6時~8時
この夏の密教伝授は、あらゆる仏陀の智慧・威力・慈悲・事業をそれぞれ一身に体現する文殊・金剛手・観自在・ターラーの灌頂を順に授ける構成となっています。最初の「ヤマーンタカ」が忿怒の文殊であるのに対し、この「ダクポ・スムディル」は忿怒の金剛手です。これの許可灌頂を受法することで、諸仏の救済力を体現する金剛手と結縁し、仏道修行の逆縁となる様々な障礙を除くことが期待できます。
8月14日(木)午後6時~8時
観自在(観世音)は、諸仏の大悲を一身に体現し、チベットに有縁の本尊とされています。歴代のダライ・ラマは、観自在の化身と位置づけられ、チベット仏教圏で極めて篤く信仰されています。世界各地で獅子吼の説法に御尽力されたダライ・ラマ14世法王猊下が90歳を迎えられた記念すべき年に、獅子吼観自在の許可灌頂を受けて仏縁を深めるのは、とても有意義なことだといえるでしょう。
※ 所作タントラに基づく許可灌頂のため、当日朝から法儀終了まで、肉類・魚介類・タマネギやニンニクなどを口にしないよう注意が必要です。獅子吼観自在は龍神と関わりがあることから、この点を特に気をつけた方がよいといいます。
8月16日(土)午後2時~6時
ターラーは、本当の意味としては、諸仏の衆生救済活動を集約して一身に体現した母尊と位置づけられます。それゆえ、ターラーへ祈願したり、その真言を念誦することで、速疾に御利益を授かることができるといわれています。さらに、本格的な大乗仏教や密教の修行をを志すならば、ターラーの灌頂を受け、その本尊ヨーガを実修することで、道を速やかに進んでゆく力を授かるはずです。
ターラーの様々な行法の中でも、「チッタマニ・ターラー」は、最高水準の密教である無上瑜伽タントラに基づくもので、大変奥深い実践が凝縮された秘法です。チッタマニ・ターラーの加持灌頂は、無上瑜伽タントラの深遠な四灌頂へ一気に入っていく流れとなっており、大阿闍梨の身曼荼羅で瓶灌頂を授けるなど、極めて稀有な特色を有しています。

無上瑜伽タントラのターラー尊(リゾン・リンポチェ猊下より賜わった御影)
チッタマニ・ターラーの法流は、ゲルク派宗祖ツォンカパ大師の直弟子の生まれ代わりとされるタクプ・ロサン・テンペー・ギェルツェンが、本尊に親近して修行を重ねた暁に、ターラーの尊顔を直接拝してお言葉を聴聞したことに始まります。その転生者とされるケルサン・カルキ・ワンポも、本尊の親近行に精進したすえ、ターラーから根本の教えを授かったといいます。その内容は、弟子を熟させる灌頂、トルマ供養による親近、内の甚深な身曼荼羅、秘密の胸への流入、及びそれらに関連する灌頂儀軌や、生起次第・究竟次第の儀軌などとされ、いずれもターラー御自身のお声によって授けられたゆえに、大変な加持力を伴ったものばかりです。
このようにチッタマニ・ターラーの行法は、後の時代にゲルク派で広まったものであるけれど、その前行・正行・結行の全てにわたり、ツォンカパ大師の教えとよく一致しています。そして、生起次第の身曼荼羅、究竟次第のチャンダリー(内なる火)、降雨の事業の次第などに、甚深かつ速疾な秘法としての特長が揃っているため、チベット全土で多くの修行者たちが実践を重ね精進してきたのです。
今回の大阿闍梨を務めるゲシェー・ソナム・ギャルツェン師も、長きにわたりチッタマニ・ターラー尊の儀軌や註釈書類を研究し、実地に成就法の修行を重ねてきました。そうした体験を踏まえ、今回加持灌頂を厳修することになりました。
チッタマニ・ターラー加持灌頂の受法資格は、顕密共通の道(ラムリムやロジョンなど)をある程度学修していることです(この点は、ポタラ・カレッジで継続的に学んでいる方ならば、まず問題ありません)。加持灌頂受法後の三昧耶(誓約事項)は、「チッタマニ・ターラー尊」の短いグルヨーガ(『チッタマニ・ターラー尊成就法』p.99【特別な上師瑜伽】からp.105「四灌頂の摂受と胸への流入など観想する。」まで)を毎日1回修行することです。
※ 8/8(金)~21(木)、東京センターの定期講習は夏季休講です。
ポタラ・カレッジのオンライン受法は、YouTubeを視聴するようなやり方ではなく、事前にきちんと受法者を登録したうえで、リアルタイムのZoomを通じて大阿闍梨が受者一人ひとりを認識できる形で行なっています。それは、大阿闍梨の側で「この受者に灌頂を授ける」という意識を明確にして法儀を進めることが、とりわけ大切だからです。そのような理由から、オンラインで受法する方は、できる限り御自身のカメラをオンにして御参加ください。こうしたやり方で大阿闍梨と受者の意識が繋がるならば、オンラインであっても正式に灌頂を受法したことになるはずです。
1955年、チベット本土のティンリ村に生まれる。中国のチベット侵攻により、少年期にインドへ亡命。'73年より、ダライ・ラマ法王仮宮殿のお膝下に新設されたダラムサラ仏教論理大学で、チベット仏教の伝統的な学問と修行を積む。'83年に来日。日本仏教を学び、比較研究を行なう。'92年、大正大学大学院文学研究科博士課程(仏教学専攻)満了。ダライ・ラマ法王日本代表部事務所(チベットハウス)文化交流担当となり、'98年まで勤務。現在、チベット仏教普及協会(ポタラ・カレッジ)会長・主任講師。照光精舎宗教文化研究所研究員。'96年、ゲルク派大本山デプン寺ロセルリン学堂にて、「ゲシェー」(仏教哲学博士)の学位を取得する。2011年秋から三年間の大親近行(密教の集中的な瞑想修行)に入り、’14年秋に付加行の護摩を伴い満願。
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ゲシェー・ソナム・ギャルツェン師
今回の密教伝授に於ける「ヤマーンタカ 一尊」や「チッタマニ・ターラー」など、無上瑜伽タントラの大灌頂をポタラ・カレッジで実施する場合、次のような点を受法資格としています。
1.顕密共通の道として、「ラムリム」などをある程度学修していること。
2.大灌頂受法後は、三昧耶(誓約事項)として「六座グルヨーガ」を毎日昼夜に修行する(「ヤマーンタカ 一尊」では、それに加えて「成就法略本」を毎日修行する)と誓えること。
これらは、本会で勝手に決めていることではなく、様々な教証に基づいて伝統的に守られてきた基準です。
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